チラー・冷却塔・室外機・全熱交換器などの空調機器を安定して据え付ける目的で行う工事です。基礎が不十分だと、性能低下はもちろん、振動や騒音、建物の耐久性にも悪影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、空調方式ごとに求められる基礎工事の種類と、その特徴について詳しく解説します。
空調設備は、採用している空調システムの仕組みによって構成機器が異なり、総重量も変わります。その点を踏まえて設備用基礎を選ぶことが大切です。 ここでは、代表的な空調システムの仕組みごとに、よく用いられる基礎の種類を紹介しています。
テナントや部屋ごとに独立して設置・管理する空調方式です。機器構成は、室外機1台と室内機1台の組み合わせ、あるいは室外機1台に対して複数の室内機を接続する組み合わせが一般的。
中小規模のオフィスビルや商業施設で広く採用されており、屋上には各エリアを担当する複数の室外機が並んでいます。大規模な熱源設備が不要なため、中央熱源方式に比べて初期費用を抑えることが可能です。
FRP(繊維強化プラスチック)製や樹脂製の置基礎が多く採用されます。 軽量で屋上防水層への負担が少なく、アンカーを打たずに設置できるため、防水保証を損なわないのが特徴です。 人力で搬入でき、基礎ブロックを据え付けるだけで施工が完了。撤去や再設置も容易で、室外機の増設・入替が多い個別空調方式に適しています。
大規模な複合ビルやホテルなどで採用される空調方式です。屋上や地下の「熱源機械室」に集約された一つの巨大な熱源設備から、建物全体に冷水・温水を供給し、各エリアの空調機を通じて全館の空調を一括でコントロールします。
熱源機械室に据え付けられる大型チラーや冷却塔は相当な重量物であり、稼働時には大きな振動も発生させるため、強固な基礎が不可欠です。
大型機器の重量と、稼働時の強い振動に耐えることができる鉄筋コンクリート製の基礎が必要になります。 現場で鉄筋を組んでコンクリートを流し込む「湿式基礎」を用いるのが一般的。構造的に堅牢なため、長期的な安定性と耐久性に優れています。
ただし、短工期や省力化を重視する改修工事では、「PCa基礎(プレキャストコンクリート組立)」を用いることも。工場製作の基礎ブロックを搬入して据え付ける「乾式基礎」の一種で、ブロック内に鉄筋が組み込まれているため、中央熱源方式(チラー+空調機)にも対応可能です。
高気密な建築物において計画的な換気を行うシステムです。主に、熱交換を担う「全熱交換器」本体、「送風機(ファン)」、そして空気の通り道となる「ダクト」で構成されます。
窓を開けることなく室内の空気を新鮮に保つ換気機能と、排気時に捨てられる熱を回収して空調負荷を軽減する省エネ機能を併せ持つのが大きな特徴です。
全熱交換器や送風機は中量級で、設置場所が屋上や天井裏など限られたスペースになることが多いため、軽量で施工性に優れるFRP・樹脂基礎を用いるのが一般的です。
設置機器のサイズや荷重によっては、ブロック内に鉄筋が組み込まれている小型のPCa基礎(プレキャストコンクリート組立)を用いるケースもあります。

建物外壁に沿って空調室外機を設置した基礎施工事例です。限られた通路幅でも機器の点検や配管作業を妨げないよう、基礎寸法や配置を最適化。プレキャストコンクリート製の小型基礎を採用し、狭い現場でも搬入・据付が容易に行えるよう工夫されています。屋外環境においても、長期にわたり安定した支持性能を発揮します。

下準備では、既存アスファルトを剥がして100mmほど掘削し、砕石を敷いて転圧する地盤調整を実施しています。
その上に型枠を組み、鉄筋を配置して強度を高めたうえでコンクリートを打設しました。完成後は室外機を設置し、周囲をフェンスで保護することで安全性も確保しています。空調設備基礎に求められる耐震性・耐久性が備わった施工例です。
大きく分けて「設計段階」と「施工段階」で気を付けるべき点があります。事前に内容を把握して、空調設備の基礎工事を成功させましょう。
採用している空調システムの仕組みによって、機器構成や総重量は大きく変わります。まずは方式ごとの違いを把握し、それぞれにどんな設備用基礎の選択肢があるのか、そして設計・施工時の注意点を理解しておくことが重要です。
そのうえで、「設置場所ごとの条件」を考慮して、導入する設備用基礎をさらに厳選する必要があります。屋上・地上・地下など、設置環境によって求められる基礎性能は異なるためです。
屋上・屋外・路上など、設置場所が変われば基礎に求められる条件も変わります。
設置場所に合った基礎を選ぶことが、安全で長持ちする設備づくりの第一歩です。
本サイトでは、湿式・乾式の違いや主要メーカーの特徴を踏まえ、設置環境別におすすめの設備用基礎を分かりやすく紹介します。


