乾式基礎とは?湿式基礎との違いも解説
設備や機械を設置する際に欠かせない「基礎工事」は、一般的にはコンクリートを現場で打設する「湿式基礎」が広く使われていますが、近年では「乾式基礎」という新しい選択肢が注目されています。
本記事では、乾式基礎の基本的な仕組みや特徴、従来型である湿式基礎との違いを分かりやすく解説。現場に適した基礎の検討材料にしてください。
乾式基礎の特徴
工場で製作された鋼製・合成材などの既製部材を、現場でボルトなどにより組み立てる据付方式です。水を使う打設や養生を伴わず、天候の影響が少ないため、一定の品質を保ちながら工期を短縮できます。
湿式基礎の特徴
セメント・砂・水などを現場で練り、型枠内にコンクリートとして打設・硬化させて一体化した基礎を構築する方式です。職人の手配と天候の影響を受けやすく、硬化・乾燥を待つ養生工程が必要なため工期は相対的に長くなります。
現場で連続体として打設されるため、質量と剛性を確保することが可能です。振動や荷重に対して高い抵抗性を持つ恒久的な基礎をつくりやすくなります。
乾式基礎と湿式基礎の違いを比較
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乾式基礎の活用シーン
屋上設備の設置
屋上に空調室外機、冷却塔、太陽光パネル、キュービクルなどを設置するシーンです。乾式基礎は軽量でスラブへの荷重負担を抑えやすく、部材を現場で組み立てるだけなので、既存の防水層を大きく傷つけずに納められます。
養生が容易で天候の影響が小さいぶん、夜間工事や休日施工の限られた時間帯でも工程計画を立てやすいのがメリットです。
改修工事・リニューアル案件
既存建物に新たな設備を据え付ける改修・リニューアルでは、湿式基礎だと養生期間がボトルネックになります。
乾式基礎の据付は、工場製作部材を搬入して機械的に固定するだけなので、短期間で施工が完了。基本的にボルト結合のため、撤去・移設も容易です。将来の設備更新や増設への柔軟性も確保しやすく、改修サイクルの短い設備に向いています。
狭小スペース・搬入制約がある現場
機械室・電気室・地下室など、大型重機や長尺資材の搬入が難しい現場では、分割された部材を人力で搬入して現場で組み立てられる乾式基礎が有効です。
乾式基礎は基本的に人力で取り回しできる重さで設計され、分割された部材を人力で搬入して現場で組み立てます。そのため、機械室・電気室・地下室など、大型重機や長尺資材の搬入が難しい現場に有効です。
地盤改良や重量基礎が不要な
小〜中規模設備
大型設備(重量数十トン級や回転機の高出力機器)では、機械の慣性力・振動対策から大きな質量と剛性を持つ湿式のコンクリート基礎が有利になる場面が多くあります。
一方、小〜中規模の通信機器、ポンプ、制御盤、空調室外機などでは、乾式基礎の持つ十分な鉛直・水平耐力が要件を満たすことも多く、既存スラブ上で短工期に据付が可能です。
機器の重量・反力・振動条件に応じて、両工法の適否を整理すると選択が明確になるでしょう。
防水・メンテナンス性を重視する現場
乾式基礎は、将来の防水改修を見据えて設備基礎を独立・明確化したい場合に有効です。防水層を貫通しない、あるいは復旧が容易な構造にできるため、改修時の影響を最小限に抑えられます。
乾式基礎の中には、防水性を高めるためにアンカーを内部で固定し、防水層を途切れさせずに施工できる仕組みを備えた製品も。基礎まわりの納まりをクリーンに保てます。
乾式基礎のメリット
- 工期短縮が可能
養生が必要な湿式に比べ、工場製作部材の組み立て中心となるため、天候の影響が小さく夜間・休日の短い施工期間にも合わせやすくなります。
- 軽量で既存スラブへの負担を抑えやすい
製品重量が軽いため、屋上や上階スラブでも許容荷重の範囲で採用しやすいのがメリットです。
- 防水納まりに配慮しやすい
本体内部でアンカーを処理できる構造や水切り一体設計などにより、防水層の連続性を損ないにくい納まりを選べます。
- 品質の均一性を確保しやすい
規格化された部材とマニュアル化された手順に基づき、作業者の熟練度に左右されにくい一定品質での施工がしやすいのがメリット。
- 狭小空間への搬入・施工が容易
分割部材を人力搬入して現場で組み立てるため、クレーンが使えない機械室や地下室でも導入しやすいです。
- 将来の撤去・移設が比較的容易
ボルト締結中心のため解体・再利用がしやすく、設備更新やレイアウト変更に柔軟に対応できます。
乾式基礎のデメリット
- 大型機器には湿式基礎が適するケースも
大型・重量設備や大きな振動・水平力を伴う機器では、乾式基礎が不利になる場合があります。必要質量・剛性の観点から湿式コンクリート基礎が適することもあるため、注意しましょう。
- 仕様によっては高さや固定方法に制約が生じる可能性がある
製品やシステムの仕様に依存するため、高さやアンカー方式などの設計自由度が湿式より限定されることがあります。製品選定時に性能・適用範囲の確認が必要です。
- 金属部材には防錆対策と定期点検を前提とした設計が必要
金属部材を用いる場合、屋外では防錆・防食メンテナンスの計画が不可欠です。仕上げ仕様や定期点検を前提にライフサイクルコストを評価する必要があります。
- 防水との取り合いには専門知見と適切な納まり設計が不可欠
防水との取り合いは知見が求められます。防水一体化の設計や乾式保護工法の採用など、メーカー仕様に沿った納まりと施工管理が重要です。
屋上や短工期の現場では
乾式基礎が合理的な選択
湿式基礎は「強度と恒久性」を重視する従来型の方式で、質量と剛性を確保しやすい反面、養生期間や天候の影響を受けやすく工期が長くなります。
乾式基礎は「工期短縮・軽量化・移設性」に優れる新しい選択肢で、既存防水への配慮や限られた施工時間に対応しやすい点が強みです。特に屋上設置や短工期の現場では乾式基礎が大きなメリットを発揮します。
設備用基礎を検討する際は、設備の規模・設置場所・将来の更新計画を踏まえ、適切な方式を選ぶことが重要です。
設置場所にあった
基礎選びを
屋上・屋外・路上など、設置場所が変われば基礎に求められる条件も変わります。
設置場所に合った基礎を選ぶことが、安全で長持ちする設備づくりの第一歩です。
本サイトでは、湿式・乾式の違いや主要メーカーの特徴を踏まえ、設置環境別におすすめの設備用基礎を分かりやすく紹介します。
設置場所別のおすすめ
「設備用基礎メーカー」3選
屋上に
太陽光パネル・キュービクル
などの基礎を設置するなら
ベルテック
引用元:ベルテック公式HP
(https://vertec.biz/)
乾式基礎
(鋼製)
ベルテックの強み
- 屋根の防水を熟知した設計で、既存防水層との干渉を最小化。外アンカー型・内アンカー型の専用止水処理により改修案件でもメーカー検査合格の際は漏水リスクを低減。「検査防水保証システム」により最大5年間※の防水保証がある。
- 日本建築センターの評定(BCJ認定)※を受けた、鋼製基礎「ベルベース」を開発・提供。新築・既築のどちらにも対応し、アンカーボルトで固定するだけと設置が簡単で、最短1日での施工も可能。
室外に
空調設備・電設配管
などの基礎を設置するなら
竹原電設
引用元:竹原電設公式HP
(https://www.takehara-baseman.co.jp/)
乾式基礎
(プレキャスト)
竹原電設の強み
- 電設・空調現場のニーズに即した供給体制を整え、 用途別に選べる規格品「ベースマン」の豊富なラインナップと在庫対応で短納期に対応。電設資材ルートを通じ、改修・更新工事など各種現場での採用実績がある※2。
- 人力搬入が可能な軽量ブロックで構成され、重機の進入が難しい狭小現場でも容易に設置できる。取り回しが良く、限られたスペースでも効率的な施工を実現。
路上に
ガードレール・防護柵
などの基礎を設置するなら
坂内セメント工業所
引用元:坂内セメント工業所公式HP
(https://www.bannai-cement.co.jp/)
湿式基礎・
(現場打ち)
乾式基礎
(プレキャスト)
坂内セメント工業所の強み
- 交差点用・路肩用など多様な製品ラインナップを持ち、直線・曲線・勾配といった現場条件に柔軟に対応。施工現場ごとの制約(地下埋設物・根入不足・騒音規制など)に合わせて基礎を選定できる。
- プレキャスト連続基礎の技術を自社製品群に展開し、夜間工事や騒音規制下など施工条件の厳しい現場にも対応可能である。
現場打ち・プレキャストの両工法を扱い、現場に適切な基礎方式を提案。